『江』no.43感想

2011/11/09 00:45

宇宙図書館7thBOOKFAIR、今日と明日はお休みさせていただきます。
(あれ、もう昨日と今日だ・笑)
今週末はヤマトな更新を目指していますので、どうぞお楽しみに!


さて、『江』です。後3回しかないんですね。
って、もう11月なんですから、当たり前なんですが、とてもびっくりしました。

『江』no.43 淀、散る 2011.11.06放送


ワタシは小さい頃から、父のようになりたいと思っていた。
長じて家庭を持ち、子を育て、母のように在りたいと思っている。

けれど、甘えん坊で根性無しのワタシはそのどちらになることもできないままだ。

ワタシの尊敬する人は、両親であると、若い頃から言い続けてきており、今でもそれは変わっていない。
アラフォー過ぎても親離れのできない、結構重度のファザコンだったりするわけです。

母と、義母を、2年続けておくりました。
最近、母を思い出すと涙が出て困っています。
お母さんの作ってくれたご飯が食べたい。
お母さん、どうしたらいいのかわからないんだ、と縋って泣くことができたら。
それが甘えであることは百も承知していながら、やっぱり母は懐かしく、慕わしい。

かけてくれるであろう言葉までが想像できて、うん、もうちょっと頑張るよ、と思ってみたりするわけです。

親の愛は大きく、そして、人の一生を左右するモノなのかもしれません。

大阪夏の陣。
これにて豊臣は亡びます。大阪城、落城。

初回からずっと、浅井三姉妹が家族の安否から離れないことが不満でした。
でも、彼女たちには家族しか見えなかったのかもしれません。
父・浅井長政を亡くした後、母・市は何を娘たちに教えたのでしょう。

織田のほこり。
自由に生きること。
姉と妹を繋ぐこと。

娘に残した最後の言葉は、娘たちの一生を縛ったのかもしれません。
それを支えとして生きてきたのならば、それもまた有り得るのかもしれないと思います。

この物語の中で、女達は誰もが家族の心配を一番に考えています。
それは当たり前なんですが、そこから更に広い視野を持つことは誰もしません。

唯一の例外が高台院・ねねです。

家康を筆頭に、男達の行動の主は「政治」です。
その主眼は「天下」であったり、「意地」であったりはしますが、
家族の無事のために、己の節を曲げていく人間はひとりもいませんでした。

女達はそれとは真逆に、家族のために戦を反対し続けているわけです。

豊臣の中、ねねと茶々は存在するための役割を分け、共存することを選びます。
ひとりは、秀吉の妻として。
ひとりは、秀頼の母として。
だから、秀吉が死んだ後、ねねは政治的判断より徳川を支持し、
意地と家族を守りたい茶々は、家康に反発します。

一時、もしかして、淀は全てわかっていて、その責を全部自分で被ろうとしたのではないか、と思いました。
秀吉を愛し、秀吉の望んだ天下太平を願う。
それを最も早く成就するために、豊臣が亡びるという道を選んだのではないか。

それはワタシの思い過ごしかも知れません。
でも、淀の意地も、秀頼可愛さも、そうすることが何を招くか分かっていても譲れなかった。
意識はしていなかったかもしれない。
でも、淀は誰よりも戦を憎んでいた、と妹・江は重ねて言っています。

目の前のひとりを助ける事こそを考えるべきか。
大勢の前には、ひとりの人間の犠牲はやむを得ないとするか。

誰も。ひとりとして犠牲を出してはいけない。
しかし、全員を助けることはできない。

この矛盾したふたつの命題を、矛盾を抱えたままに答えを出すこと。
どちらの命題も手放さずに抱え続けること。
たとえダブルスタンダードと罵られようと、それを、片方に絞るのは正義をしか認められない子どもの諸行であり、そういう人間に人は付いてこないであろうと思われる。

乱世を終わらせるために、避けては通れない戦があるのかもしれない。

この高台院の言葉は、もしかすると淀の信条だったのかもしれません。

でも、やっぱり哀れだったのは若き秀頼でしたね。

後3回、楽しんで見たいと思います。

テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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『江』no.42感想

2011/10/30 23:38

『江』no.42大阪冬の陣 2011.10.30放送

なんと言いますか。面白いかもしれない、と思った『江』でした。

本日、大阪冬の陣。
家康が大阪城を攻め、和睦をした後に外堀だけの約束を無視して内堀まで埋めてしまう、あれです。
淀の方が陣羽織着て鼓舞してましたが、オンナが出てきちゃいかんだろう。
江は相変わらず豊臣豊臣と言って、春日の局と対立。
秀忠は、変装して秀頼に会いに行っちゃう。
そういう話でした。^^;


身内の安否から一歩も出ない女たち。(例外は高台院)
天下太平を願いつつ、それぞれの信念から出ることなく戦い続ける男たち。
偉大な先代(や母)に呑み込まれまい、何とかして自分の存在価値を示そうとする二代目。

人間模様の題材として面白そうなのに、その世界観に浸れず、反発してばかりいるワタシ。
違う描き方をしたらもっと魅力的なのに、とつい頭の中でぐるぐるさせながらみている。
(ヒトの批判をするのは容易い・笑)

この秀頼うまいなー、とか、家康や高台院の思惑とかをつらつらと考えていると、
結局、上に立たねばならない立場にあるからといって、誰もが皆ヒーローになれるわけではなく、
凡人は凡人なりにあがいて生きて行くしかないのかなぁ。
などと人の世の哀しみとか、哀れとかに浸ってしまう。

一歩立っているステージを変えれば、違ったモノが見えてくるはずなのに、と思いはしても、
それは結果を知っている、つまり、正解を知っている者の感慨でしかないのかも知れない。
ワタシがあそこにいたのだとしたら、結局のところ、同じになってしまうのかもしれない。

なんて。

自分の想いに囚われていることが、如何に、生きることを難しくしているのか、
そんなことを考えつつ、「あなたは敵だ」と言い放った秀頼に何だか涙してしまった。

なんて考えると、これはこれで、案外面白いものなのかも知れないね。

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『江』no.39感想

2011/10/09 22:02

『江』no.39 運命の対決 2011.10.09放送

運命の対決というよりも、「囚われた心」という副題を付けたいポトスです。

お久しぶりです。「江」です。大河です。
はい。毎週見てましたよ、飽きずに(笑)。

以前、オトモダチから聞いて成る程!と思ったんですが、この物語の主人公を、或いは語り手を「初」にしたら違った面白さが出るのではないか、と。

物語が始まった当初、お菓子が大好きな3人姉妹の真ん中っ子という以外に大きな特徴のない初でしたが、こうしてみると、三姉妹の中で一番自分らしい生き方をしているじゃないでしょうか。
好きな人ができて、その人の処にお嫁に行き、その人と共に戦い、看取った。
この時代、子を為さないというのは結構な痛手だったんだと思いますが、それに囚われている様子もなく、夫婦二人で仲良く生きてきたみたいですしね。

この物語の中で一番気に入らないのが、ほとんど誰も「家臣」とか「民」とかを背負っていないという点でして。
それなくして戦国の世が語れるのかっ! という不満はずうううっとあるんです。だから、江を日の本一の御台所様とか言われても全然実感が伴わない。
男共の心情はほとんど描かれませんから、家康や秀吉については江から見た姿しかわかりません。
その江の価値観は「自分の家族の存続」から出ることがありませんので、彼女が天下太平という言葉を使うととても浮いて聞こえますね。なぜなら、そこに身銭を切った自分の感情が重ねられていないからです。
民の行く末を案じたことがありますか。自分の境遇から、もっと悲惨な思いをしている人の境遇に思いを馳せたことがありますか。
今の彼女からは、人の上にたつ者として責任感も義務も感じることができず、結局の処、いつまでも「お姫さま」のままですから。

反対に、自分の家族内のもめ事、例えば秀忠との気持ちのやり取りだとか、春日の局との確執だとかは、もの凄く実感伴って感情移入できるわけです。
実際、そういうやり取りの方が見ていて面白いです。

ワタシは今回を、「囚われてしまった心に振り回される女達の姿」として見ました。

実際、自分の事になると見えないものなんですが(苦笑)、こうして端から見ていると「もうひとつ高みにあがってしまえば、お互い楽になるのにね」と思います。

天下人の座を豊臣から奪ったと憤慨する淀の方ですが。
おいおい、織田家から天下人の座を奪ったのは豊臣だったという事実は綺麗さっぱり忘れちゃってるんですねぇ。
あれだけ「織田家」に固執していたのは誰だというのでしょう?
秀吉が織田家から天下を奪った事を考えれば、徳川をあそこまで罵倒できる立場ではないでしょう?

秀頼かわいさ、というのは、親としてわからなくはありません。
でもですね。
何か我が子の幸せか、ってのを冷静に考える事はできなかったんでしょうか。

確かに家康に秀頼が殺されてしまう、と言う可能性は低くなかったでしょう。
あの家康が将来の禍根となる種をのうのうと生かして置いたとは思えないですから。
でも、それにしてもトチ狂いすぎです、淀の方。
ちっとも魅力的に描かれてません。

確かに、彼女が悲劇の女性だったことは否定できません。
生まれた城も、育った城も、嫁いだ城も、落城に継ぐ落城。没落に継ぐ没落。
「今度こそは」と頑なに守りに入っても不思議じゃないですが、そういう意固地さの描写はされていないですしね。

「天下人」を手放してしまえば、徳川と豊臣が共存する道はなくもなかったんじゃないか、と。

江もそうです。
家康の願いも、秀忠の思いもわかっているのなら、もっと違った提案を姉に向かってすべきでした。
徳川の家の中で、豊臣、豊臣と言い続けた処で何が変わるというものでもないでしょう。
己れの立場を悪くするだけでは意味がありません。
「天下太平のため」に夫を征夷大将軍にしようとするのならば、その立場でモノを考えて良かったはず。

福、つまりは春日局とのやりとりも同じ事です。
我が子がカワイイのは当たり前。とられたくないというその気持ちは、ものすごっくよく分かる。
でも、そこで「(次男)国松しか残されていない」と言ってしまうことで引き起こされるあれこれを、あの江の立場なら考えなければいけないはず。
それが考えられないのなら、江にタイムスクープハンターの資格はない。

江や淀の方の、愚かしく悲しいその思いに、それでも共感できるような情景が欲しかった、と思う。
それが残念でならない。

男共はそれなりに良かったんじゃないですかね。
秀頼の挨拶は、上手かったですね。
家康に「老い」を感じさせるあれこれのやりとり、見ていて面白かったです。
あの秀頼は大うつけじゃないですね。
無事帰城した息子にすがりついて泣く淀の方のあの哀れさと対称的なオトコとしての秀頼。

その分、秀忠の活躍の場がないですねー。
(笑)
今のままでは、ただの律儀な、先が見えるにもかかわらず打つ手の見つからないぼんくらちゃんです。
夫婦揃って何だかなーな状態ですが、きっと目が覚める瞬間もあるはずですから、
それを楽しみにすることに致しましょう。



何事につけ、他人事というのはある意味で自分を客観視させてくれます。
人の振り見て我が振り直せ、とも言いますし。
今回の江を見ながら、結構自分を笑ってしまったポトスでございました。わはは。

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『江-姫たちの戦国』no.30感想

2011/08/08 13:37

『江~姫たちの戦国』no.30愛しきひとよ 2011.08.07放送

ひっさしぶりの『江』感想です(笑)。ほぼ3か月ぶり。ええ、ちゃんと見ていたんですよ、JINの前に。
ここ数回、面白い回が続いていると思います。

28回「秀忠に嫁げ」は良かった。
跡継ぎ・秀頼が生まれ、親心満載の秀吉は、甥である関白・秀次の失脚を企みます。秀次もまた、自分が排除されることを畏れ、自暴自棄に。そうして、秀次は、関白剥奪、切腹となるわけです。

この秀次のうらなり瓢箪ぶりが、とにかく良かった!
北村有起哉さんが演じていらっしゃいます。

寝転がっているかと思えば、いそいそと書物を探してみたり、昼間から足許おぼつかないほどに酔ってみたり。
「あの優しかったおじ上(秀吉のこと)が…」とか、「わしはおじ上の心を知ってしまった」とか。
飄々とした風貌が、秀吉の甥というよりは、もうちょっと高貴な身分の方にも見え、
拗ねてみたり、だだこねてみたり、無邪気だったり、果てしなく落ち込んでみたり、挙げ句の果てに自暴自棄になってみたり。
でも、実は思慮深い、賢い人物だったのではと思わせるところが、北村さんのうまいところなんだと思います。

殺されるのが怖くてあんなに怯えていた人が、切腹間際では、髭ぼうぼうのお顔の下、悟っているかのような言葉をはき。
でも、きっとやっぱり死ぬのはイヤだったんだろうなぁと思えた。

いろんな心持ちが同居しているうらなり瓢箪、秀次。
その哀れさが、うらうらと伝わってくるような回だったと思います。
とても印象的な秀次でした。

北村有起哉さん、blogをなさっているんですね。面白い方だと思いました(笑)
 officialblog「北村有起哉のあつくなくても、うて」

   *****
というわけで、やっと30回「愛しきひとよ」に参りましょうか(笑)。

江の姉・茶々の恋模様の時も思いましたが、この方、こういう恋愛を書くのはうまいですね。

江は、徳川と豊臣を結ぶために、家康の子・秀忠に嫁ぎます。
どなたもご存知でしょうが、後の徳川幕府第二代将軍ですね。

死に別れた夫・秀勝との間に生まれた娘・完(さだ)を淀の許へ残し、ひとり嫁いだ江ですが、
秀忠は相変わらず生意気なまま、うち解けようとはしません。
江は秀忠よりも6歳年上、としきりに言っていましたが、
江 22歳、秀忠 16歳? であっているのかしらん?

家康に「光を持つお方」と言われ、是非にと望まれ、婚姻を承諾した江ですが、
秀忠とはそうはいかないわけです。
「先に夫婦になりたいと思った方が負け」という勝負になってしまいました。初夜の床で(笑)

説得のために、姉・初が尋ねてきたのはどういう訳だったのでしょうね?
単に、秀勝の遺品を持ってきたの事を、秀忠に知らせるため? よくわかりませんな。
そうなんですよ、江は嫁ぎ先に、亡き夫の形見の品を持って来ちゃうわけです。
娘の風車は、まあ許容範囲でしょうが、さすがに形見の品は…ねえ?
心細くて持ってきたとしても、開けちゃいかんでしょう。行李の底にでも忍ばせておかなくては。

互いに頑ななままに一年が過ぎ。ってどっちも根性ありますな(笑)。
一年続いたら、江が離縁を言い出すのも不自然ではないでしょう。
ただ、自分が道具にされるのはいやだ、とか言うわりには、権力は都合良く使うんですよね、彼女。ずる。

で、家事、じゃなくて、火事ね。
ご都合主義的な出来事ではありますが、秀忠が江を助け上に、形見の品を取りに引き返した。
そこまでは予想してましたけど、火にまかれそうになった秀忠が形見の品を持って帰ることを躊躇った、という描写は良かったと思いました。
ふたりの距離感が縮まっていきます。
「意地を張るしかない私を、そのままにしていた貴方も貴方」と江。
「これまでのことはお許しください。私を妻としてくださりませ」
「助けてもらった恩義からか?」と秀忠の言葉を否定する江。
「では、心から私の妻になりたいと望んでいると?」

勝ち誇ったような、秀忠。
「それでは、私の勝ちということで」

むぎゅうう。

「では、夫婦になりましょう」って最後は見てて吹き出しちゃった(笑)

 ***

tateさんが、江を「タイムスクープハンター」って仰っていたんですけど、何てお上手なネーミング!
まさに、その通り(笑)。
歴史の重要な場面に、何とかして江を絡ませようとしたいのはわからなくはないですけど、私はやりすぎだと思う。
今回みたいに、関わった出来事を丁寧になぞっていくことでも、歴史を表現することはできると思うけどな。
直接に絡むばかりが、物語ではないと思うし。

「江から娘を奪った故、このような病を得たのか」と言う秀吉は良かったしね。
巨星が墜ちるという事を、この物語にしか存在しない表現がされることを楽しみにしています。^^

そうそう、今回、ちょっとした音楽が面白かったです♪

no.13&14 ≪ 『江』感想 

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『江-姫たちの戦国』感想no.13,14

2011/04/18 18:36

『江-姫たちの戦国』no.13花嫁の決意 2011.04.10放送、no.14離縁せよ 2011.04.17放送

今回の大河ドラマは1話完結型ではなくて、数話でひとまとまりになっているのだと思います。
第11話「猿の人質」からずっと秀吉と三姉妹の関わりを描いているわけですが、11・12話が茶々編、13話・14話が江編。で、次の15話で三姉妹の視点からは見えなかった秀吉という人物の真実を描こうと江が奔走するようですね。

変な言い方だとは思いますが、この作品は、江というキャラクタを作り上げるために歴史を題材にした二次創作を見ている、と云った感じなんです。歴史小説というもの自体がそういう要素を含んでいるとは思いますが、「正統派時代劇」を元にした二次創作という印象を受ける作品だと、私は感じています。

さて、江編ですが。
秀吉にとって、茶々を得るための目の上のたんこぶが江と云ったところ。それに秀吉にとって、江=信長でもあるわけですから、天下のっとりを企むのに何しろ都合が悪い。よって、江を遠くに追いやるためにはどうしたら良いか? というわけで江の婚礼話が浮上する、という筋書き。

相手は、母・市の妹おいぬの方嫁ぎ先、尾張大野城主・佐治一成(さじかずなり)(平岳大)。つまりはいとこ同士の婚姻であり、織田家の結束という大義名分ができあがるわけです。

まるで江を遠くへ追いやることが嬉しくてならない、という風の秀吉ですが、相手まで決めておいたくせに、その戦略的意義(佐治家の水軍を味方につける)を黒田官兵衛の示唆を受けて納得するというのは、どう考えてもみょうちくりんだと思います。
それとも、これも大将が気付かなかった事を補佐する軍師を活用しているという「部下への配慮」という秀吉の魅力と描きたいのかしらん?

ちょっと横道に逸れますが。
秀吉の信長に対する負い目を、これほどあからさまに取り上げた時代劇は初めて見たような気がします。
戦国の世では下克上が当たり前であり、隙あらば主といえど容赦はしないという価値観の中、秀吉が織田家の天下を奪い取ったというのは、政治的に非難される道具となることはあっても、秀吉自身がそれを後ろめたく感じているという描写は、私は見たことがありませんでした。
もっとも、豊臣家の世が続かなかった要因のひとつに秀吉自身が成り上がりであったこと、つまり、子飼いの家臣がいなかった(少なかった)ということが挙げられますから、この時代に「忠心」というものが無かったとはいいませんが、鎌倉や江戸時代の武士とは価値観を異にしていたということは事実なのでしょう。

私は未読なのですが、加藤廣氏の著作に「信長の棺」「秀吉の枷」がありまして、新しい秀吉像が描かれているということなので、今度読んでみようと思っています。

**

茶々、初、江の三姉妹は、互いに負担を掛けまいと、互いの役に立ちたいと、互いを深く思いやりつつ生きています。そして、それぞれにかけらられた母・市からのメッセージが支えとなっているわけです。
茶々がどんなに母親の代わりをしようと思っていても、到底そこには及ぶことがないわけです。

江は「姉には手を出すな」と秀吉に一筆書かせた上で嫁に行きます。
一筆書かせたところで反故にされちゃうだろうに、と思うのですが、それは江が10歳という幼さだからという理由なのでしょうか。それとも、そう思うことが現代の価値観なのでしょうか。

お市の方も手紙という方法で秀吉に釘をさしていた処を見ると、あの時代の「手紙」というのはそういう重さを持ったものだったのかもしれません。もっとも、市の場合は死をかけた上での願いですから、無碍にはできなかったということもあるのかもしれませんが。

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今ひとつ腑に落ちないなぁと思うのが、この三姉妹のプライドです。
本来、保護者を失っており、織田家という後ろ盾もかなり危うい状態にあるのだから、どうなっても致し方ないという身の上でありながら、自分たちが「姫」として遇されることに一抹の疑念も持たない。
それも「子どもだから」大人の世界の価値観はわからないと云うことなんでしょうかね?

家族を討たれた事に対する恨みつらみはわからなくないんですが、自分の父たちが討った相手の事はこれっぽっちも考えていないでしょう。このアンバランスさは彼女たちが子どもだからなんでしょうか。でも、江の10歳はまだしも、茶々は14歳でしょう? モノがわかっても良い年だと思います。
彼女らは「自分たちは被害者」とばかり思っているようですが、あなた達のために付き従っている侍女を初めとする家臣たちのことは、まるで「当たり前」扱いですよね。当時の価値観でいえばその通りだと思いますけど、でも、そういう「虫食い状態」で価値観を入れ替えるのは、私はいかがなものかと思います。
これは『龍馬伝』の時もそう思いましたけど、話の作り手に都合のいい価値観だけを抜き出して入れ替えるのは、話をご都合主義にするだけなんじゃないでしょうか。

**

それにしても、ここまでのおねの行動は、到底秀吉の女房だとは思えませんな。
とうとう離縁まで持ち出してしまいましたし(笑)。いろいろな作品で、この二人の夫婦喧嘩は仲睦まじさの表現として使われていますけど、ここまでの二人のやりとりはそうは見えませんわ。もっとも、来週あたり隠されていた「秀吉の真実」が出てきそうですけどね。

尾張大津城へ輿入れした江ですが、夫となる佐治一成は優しくフレンドリーで、江は「嫁に来て良かった」と涙を流します。
そうですねー、あれが11歳だと思わなければ、良い話ですがねー。
11歳の少女相手に、気持ちが調うまで待つの待たないのって、どうやって共感しろと?
まあいいや。

結局、秀吉は織田家(信雄)と対立。そして戦。
秀吉側に付かなかった佐治は見捨てられ、江は「茶々の病が重い」という偽手紙に騙されて、事実上離縁されてしまうことになります。
たった一年の結婚生活。しかも、夫は戦に出たまま。
11歳という身の上で何を考えて過ごしていたんでしょうね。

世に有名な小牧長久手の戦いですが、秀吉は戦上手の家康に手を焼き、織田信雄を懐柔することで和睦に持ち込みます。この戦も、武将同士の駆け引き等、面白いエピソードがありますけど、そういう面は全く描かれずにお終い。
家康はひたすら狸じじいだし、織田信雄はおバカだし。秀吉はひたすら滑稽。
うーん、やっぱラノベだよねー^^;。

そうそう、江を大阪城に呼び出すために秀吉は偽の手紙を使うわけですが、それがニセモノだと分からせるために、本物の手紙には「初」と署名してあり、ニセモノには「はつ」と署名してありましたね。
「手紙」とか「言葉」に重きを置くにしては、江がそこに気付かないのはあまりといえばあまりじゃないすか? そういう使い方はあざといなーと、私は思いました。

で、ラストシーン。江は秀吉の養女になってしまいました。
さてさて、秀吉の真実とは何でしょうね。

次週、猿の正体。乞うご期待!?


no.11「猿の人質」&12「茶々の反乱」 ≪『江』感想

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