「龍馬伝」感想 no.3 弥太郎と半平太

2010/01/19 09:57

★「龍馬伝」第3回 偽手形の旅 2010.01.17放映


別に毎週感想を書くことはないんだけど、まぁ覚書だと思ってくださいまし(^^;)。
大河ドラマ好きなんですもん。
昨日消してしまった日記の書き直しです(笑)

今回は鉄腕ダッシュに気を取られている間に10分ほど見過ごしてしまいました。
「うわあ、8時10分! NHKにして!」の叫び声と共に龍馬さんが始まったのでした。
以下、ネタばれ含みます。ご注意ください。

      *****

偽手形で旅をするのは、もちろん龍馬ではない。物語の成り行きを考えても、岩崎弥太郎に決まっている。
もっとも番組最初を見てないので(TT)、出発の様子はわかりませんが。
私が見たのは、弥太郎が山中を進む龍馬たちに追いついたシーンからです。

今回の主役は、岩崎弥太郎と武市半平太。
このふたりの龍馬への「妬心」、だと思う。(すんません、語彙が貧弱で他に適切な言葉が思いつかない…^^;)

私は、大切なものを捨てて道を進むのは「持てる者」のする事だと思っていた。
この場合、龍馬だ。
龍馬は、お金を、家族を、愛情を、身分を、才能を持っている。
とはいえ、それはあくまでも相対的な感覚であって、さらに「持てる者」は存在するし「持たざる者」も存在する。
だが、相対的にそれを持っていない弥太郎の龍馬への妬心は凄まじい。

うーん、やっぱり「妬心」じゃないのかな。
己への不遇感、というか、絶望というか。龍馬への羨望、嫉妬、信頼、反発。己への自信。全てがまぜこぜになったもの。
ま、とりあえず「妬心」にしとく。

番組後半、賭場のケンカから弥太郎を救った龍馬が、「ワシもおまんと一緒じゃ。全てを捨ててきた。これからどうなるか、わからん」てな事を言う。それを聞いたときの弥太郎の目が凄かった。全てを物語っていたと思う。
(才ある)自分が地べたに頭をこすりつけて頼んでも、誰も助けてくれなかった。何もかも捨ててきたんだ。(恵まれた)お前と一緒にするな。
そういう事を、弥太郎は言う。血を吐くような想いだと思った。

どうしようもない父親(弥次郎)。理解ある母親。妹たち。そして、絶望的な貧しさ。
弥太郎がいなくなったら、あの家はお終いかもしれない。それでも、捨てて、行こうとする弥太郎。
姿を消した弥太郎を捜し回る父・弥次郎(蟹江敬三さん)も、黙々と縄を編み草履を作る母・美和(倍賞美津子さん)からも、弥太郎への思いは伝わってきた。龍馬の父の愛情とは違っているかもしれないけれど、そこには切っても切れない感情が存在する。たとえ、それが尊い感情だけではないにしても、だ。

それらを全て捨ててくる弥太郎。「持たざる者」が捨ててくるのは、自分の中の大切なものだけではなく、周辺の大切なもの-例えば生活の糧とか、命とか切羽詰まったもの-を切り捨てることになる。
その切実さと、龍馬の良く言えばおおらかさ、悪く言えば甘ちゃん、の対比が見事だと思った。

最後の関所?で、弥太郎の偽手形がばれ、弥太郎が龍馬達を巻き込むまいとして「こいつらとは赤の他人」と言い張るのは、まあお決まりの流れというか。

最後の別れで、船の上の龍馬が、上手く逃げおおせた弥太郎に向け、「お前の分も頑張ってくる」みたいなことを吼えていたけど、そんなことを弥太郎は望んじゃいなかろうに、と思う。
でも、ま、「死にやがれ~! おんしは大っきらいじゃあ~!」と弥太郎が叫んだのを見ると、ちょっとは感謝しているのかもしれんな(笑)

この強烈な自負と上昇志向というのは、あの封建時代にあって稀有なものであり、それがあったからこそ龍馬も生まれたんじゃないかとさえ思える。このふたりの対比は面白いと思う。これからも見所だろう。


さて、今回は、もうひとり主役がいたと思う。地味だったし、登場時間も少なかったけど。
武市半平太だ。(大森南朋さん)

人格は高潔にして、誠実。周囲からは「先生」と尊敬され、それに見合う実力も備えており、それに驕り高ぶることもない。努力と誠実を絵に描いたような、武士、だと思う。

だが、彼の中にも「妬心」があった。
橋の上で上士に道を譲った後、下げた頭をあげる。そして去りゆく上士らを見つめる横顔。
あれは、良かったと思う。
己を武士である、立派な武士であれ、と自己規定するが故に、様々なものに縛られている半平太。
龍馬や弥太郎の奔放さとは対称的だ。太平の世ならそれでも良かったのだろう。一武士として、己の信ずるものを大事にしながら生涯を終えたに違いないと思う。(武市についてはよく知らないので、もしかすると違うのかもしれない)。
だが、龍馬はいなくなってしまった。
己に才があったがゆえに、龍馬の才にも器にも気づき、それでも己は己であることをやめることはできない。その苦しさ。

道場で、腕を上げた岡田以蔵にむかって「龍馬以上になれる」と言葉をかける半平太。以蔵が、いずれ、幕末屈指の暗殺者になっていく以上、武市の言葉は罪深い。
もっとも、ここでいじけて田舎に埋もれちゃわないところは見事だけどね。最後は、見事な切腹を果たすわけだ。己を武士であることに規定した半平太の生き方に私は共感できないが、それでもこの時代を駆け抜けた人間の生き様として、大変に興味深く思う。


このふたりの強烈さにくらべると、「ワシは人間ができちょらん。父上に申し訳ない」と述懐する龍馬の魅力は薄い。「持てる者」としての龍馬が、やけに甘っちょろく見える。逆に、龍馬の未熟さを強調していると考えれば、福山さんの演技は的を射ているのかもしれないが。
龍馬の優しさが、人を傷つける。優しいだけでは、人は幸せにはなれない、どうにもできないものがある。

今後、龍馬がどう変化してゆくのか、楽しみにしたいところでございます。

no.2 へ≪「龍馬伝」感想 ≫ no.4 へ

『龍馬伝』感想  | コメント : 2  | トラックバック : 0 |

コメント

やっぱ、弥太郎でしょう!!

ポちゃんの日記に便乗して、ワタクシも感想を。
私も毎回、8時10分頃から見ています。ええ、始まりを見たことないです。
ポちゃんの感想、どれも、激しく同意!
そして、追加をいうなら宿のシーン。
龍馬の「宝だ」という父上からの手紙。皆が寝たのを見計らってそっと手紙を手に取る弥太郎… あのシーンに胸が痛んだ。弥太郎の切なさが出てたと思いませんか!?
そして、関所からみごと逃げ切る弥太郎。『武士だったら潔く…』なんて、考えない! 逃げれるところまで、やれるところまでやる。 さすが、大財閥を築くだけあるよね♪

そんで、福山龍馬。毎回かっこよすぎるから、ちょっと現実味がないんですよね~

| 2010/01/20 |  00:39 | 瑞喜 #EBUSheBA |  URL | 編集 |

>瑞喜さま

ねーさまも、今週も見られましたね☆
> ポちゃんの感想、どれも、激しく同意!
 おぉ、それは嬉しいですv-238
> そして、追加をいうなら宿のシーン。
> 皆が寝たのを見計らってそっと手紙を手に取る弥太郎… あのシーンに胸が痛んだ。
 こちらも同意~!
 一瞬財布に手をつける気かと疑っちゃいましたが(^^;)
 あそこで「ワシの宝」と臆面もなく言っちゃうところは、龍馬さん無神経だろ、と思ったんですけど。

>『武士だったら潔く…』なんて、考えない!
 そうなんですよ。凄いですよね♪
 そういう処に惹きつけられるんだと思うんですね。

>福山龍馬。毎回かっこよすぎるから、ちょっと現実味がないんですよね~
 そっか! なるほどね~ 魅力的な龍馬さんを見たいですね☆

| 2010/01/21 |  02:54 | ポトス #- |  URL | 編集 |

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する