『龍馬伝』no.19 感想

2010/05/13 10:41

『龍馬伝』no.19 攘夷決行 2010.05.09放映

文久3年5月10日の攘夷決行の日をめぐっての話でした。
(そういえば、放映日が5/9というのも偶然なんでしょうかね・^^)

始まりのシーンを見逃してしまいましたが。
龍馬と以蔵が飯を食っている(<ご飯を食べているというよりも・笑)シーンでした。

以蔵が龍馬を羨ましいという。
「何をしたらいいのかわからん」と。
龍馬は、お前も何にも縛られずに己れの生き方をしたらいい、と言った。

この時代のキーワードのにひとつに「自由」をあげても良いのではないかと思っていますが。

確かこの言葉を訳したのは福沢諭吉だったと思います。ああ、wikipediaによると仏教用語の「自ずからに由る」からきているとありました(ウラはとってません)。

いや、この龍馬の「何者にも縛れない」と言う言葉が引っかかっただけなんですが。
己れの価値は身分や才能に拠るものではない、というのはわかるんですけど、「何者」って何を指すんだろうと思うわけです。
極論すれば「何者にも縛られない」ということは「何者にもつながらない」ことになるのでは。となると、そんな生き方は出来うるものではないし。自分の拠り所をどこに持つのか、って話になるんじゃないかと。それは「自分が何者なのか」を問う作業にも繋がっていくと思う。
己れを支えている価値観の形成、その価値観の転換というのがこの時代には行われたということなんでしょうが、庶民の間でそれはどんな風に行われていったのか、どんな風に浸透していったのか気になるところです。

話がそれました。

以蔵と龍馬のところへ、平井収次郎登場。当然、以蔵を激しく罵ります。
で、そこへ土佐藩士が乱入。平井を捕まえようとします。

いや、ここで登場した山内容堂(近藤正臣)は、吉田東洋(田中泯)に負けず劣らず怪物でしたね(笑)お見事です。
幕府があちこちに手を伸ばして行く様も上手く描かれていたのでは。
時勢の変化というか、揺り返しが起き、坂の頂上にいた者達が転がり落ちてゆく予感をはらんでいます。

上記のシーン、収次郎と以蔵は上手いこと逃げおおせるわけですが、龍馬に連れられて行った先は武市の許でした。
以蔵の「もう人斬りはいやじゃ」という叫びも、収次郎の「自分の手で土佐藩を動かしてみたかった」という告白も、あまりにも切なく。そして、この時点の武市は傲慢です。
ふたりともに突き放しちゃいますからね。
ダーク武市、ここに極まれり。ってとこでしょうか。

そこに挿入される、武市の妻・冨の想い。
このドラマでは、何時の時代の武市の背後にも、この冨の姿が挿入されてますね。
政治とも思想とも身分とも関係のない、それとは違った次元の想い。どちらがより尊いものだとは思わない。でも、女が男に寄せる想いが「恋」や「愛」ばかりというのは、つまらん。いや、私自身恋愛体質なので(笑)恋愛がきらいなわけじゃないけど、女が男に寄せるのは「恋愛」と「家族愛」だけか? 違う形も見せてほしいものです。

今回の主役は、文句なく武市なわけですが。
攘夷決行を宣言させるまでと、攘夷決行の命令が下るまでの切迫感、そして、それが結局は届かなかった時の虚無感が、ひとつの回の中で見事に描かれていました。

下士でありながら出世し、大殿様を信じ、土佐藩の活躍を望んでいた武市は、結局、その身分制度、そして価値観というものに負けてしまった。その価値観の中で転換を図ろうとしても、基本的に旧価値観を母体とする社会の中では、たとえ上手くいったとしても「自分とそれに連なる者」の栄達しか図れなかったでしょう。
武市と龍馬の最初の一歩の違いではないかと思っていますが。(もっとも、龍馬はまだこの時期、社会制度まで変えようと意識していたかどうか疑問ですが)

武市の方が現実的な判断ではありましたが、より強い権力を持った者に潰されてしまうのは自明の理というもの。

その武市のはかなさを象徴するかのように、後ろでずっと桜が待っていました。
5月だろ?と思いつつ、ああ旧暦か、と納得してみたりする。

ラストの武市には清々しささえありました。
凝り固まった想いから開放されたんでしょうか。土佐へ帰れば捕まることは、龍馬に言われなくてもわかっていたと思いますし。収次郎へも、以蔵へも、謝罪の言葉がありましたしね。龍馬へは、海軍に参加してもいいとまで言って。

どんな風に扱われようと武市にとって容堂公を否定することは自分を否定することに等しい。
後はその倫理観念に従って、見事な最期を遂げようとする以外には道はありません。

こうなると、「武市さんが生きていたら」と後の龍馬が言ったというのも哀しいですね。

次回「収次郎、無念」。
――容堂公は、クワガタに耳を挟まれるんだそうですよ(笑)(←映像にはないけれど)
  龍馬伝公式HP 第20回 近藤正臣的おすすめシーン
  http://www9.nhk.or.jp/ryomaden/

テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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