いちりきさん

2011/01/14 23:59

小説を読んでいます。

梅咲きぬ (文春文庫)梅咲きぬ (文春文庫)
(2007/09/04)
山本 一力

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昨年の「ひとりで勝手に時代小説フェア」でハマった作家さんのお一人、山本一力氏。

最初に読んだのは『菜種晴れ』でした。
彼の本は図書館の棚にたくさんならんでいますから、いつか読んでみようと思っていました。
だって、何が魅力的って、まず、タイトルが綺麗なんですよね。
“菜種梅雨”は知っていても、菜種晴れ、なんてね?
暖かな春の日差しの下、一面に広がる黄色い菜の花畑とその向こうの蒼い海。
そんな情景が、タイトルを見た途端に喚起されたんです。

ちなみに、私は菜の花が好きです。
司馬遼太郎氏が好んだ花でもあって、だから彼の命日は「菜の花忌」と呼ばれていますが、ああ、そう言えばもうすぐですね。ということは、ウチの怪獣の誕生日ももうすぐということです。私は彼の訃報を、生まれたばかりの次男と一緒にベッドの上で聞いたのだから。いやー、ショックでしたわ。
って、今回は司馬さんのことじゃなかったでしたね^^;。

一力さんです。
書棚に並んだタイトルを見ながら、いつか読もう、いつか読もうと思っていたのです。
で、読んでみて大正解。
めっちゃ、いいです。

まだ6,7作しか読んでいませんが、自分の本棚に並べたい作家さんになりました。
全部がそうではないかもしれませんが、江戸という時代と土地を主軸に、生き生きとした人間の生き様を描いているのです。
武家も商人も奉公人も職人も。旦那もおかみさんも子どもたちも年寄りも。
みんながそれぞれの分をわきまえて、一生懸命に生きている。
江戸っ子の心意気、ってヤツですよ。

母がふたり、病に倒れ、あっと言う間に逝ってしまい。しみじみと人と人の繋がりというものを感じました。
義理とか人情とか見栄とか。
実家は、地縁と血縁が重なっている地域でしたので、子ども心にも「付き合い」というものはとても大変そうに映ったのでした。「大人になる」というのは、あの煩わしい付き合いに混じることなのだ、と3人姉妹の長女だった私は、そう考えていたのです。
古いしきたりや慣習なんて面倒なだけ。見栄を張るなんて、なんてみっともない。
若い頃はそう思っていたのです。

でも、この年齢になってやっと色々なものが少しは見えるようになって、義理も人情も見栄も、決して悪いものじゃないんだと、いえ、それはとても大切なものなんじゃないかと思えるようになったのです。

一力さんの小説は、そんな私を勇気づけるてくれるように、私の背筋を伸ばしてくれるような、そんな力を内包しています。

「玄関周りを念入りに掃除しておけば、神様が運のよさを運んできてくれる。玄関先が汚れている家は、万にひとつの間違いもなく、その家に暮らす者がだらしない」(『梅咲きぬ』より引用)

げげげっ。その通りでございますよ。

この『梅咲きぬ』は、深川にある料亭「江戸屋」の四代目女将秀弥の物語です。
まだ、途中までしか読んでいないので、彼女はまだ九歳です。

「楽なことを覚えたらあきまへん。あんたが七つでしっかり覚えられたら、あとは一生もんや。その歳で楽なほうに走ることを覚えたら、あとになって苦労するのはあんたですえ」(『梅咲きぬ』より)

なんて師匠に叱られたり、その苦労が報われたり。
人ひとりが成長していくためには親だけでなく、そんな周囲の人間の力が必要なのだ、と。今の苦労が即結果に繋がるわけではなくても、必ず身になるのだと、疑うこともなくそう思わせてくれたりするのです。

そして、江戸・深川の町の様子が、人々の暮らしが目の前に広がっていく楽しさも魅力のひとつですね。

一力さんの本は、まだまだたくさんあります。
ゆっくり、楽しみながら読んでいきたいと思っています。

もし、機会がありましたら、是非お手にとって見て下さい。おススメいたします。^^

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