『江』no.09感想

2011/03/07 01:05

『江』no.09 義父の涙 2011.03.06放送

さすがにびっくりしました。NHK大河ドラマが、ここまでホームドラマになるとは思っていなかったもので。時代背景(価値観)も、家臣への責任も、政治も、戦いも、全てが描かれずに「義父上のうそつきっ」に集約されている。うん、すげーです。いっそ潔いですね、ここまでくると。

でもこれはNHKの大河ドラマ。
それは、「柴田勝家っちゅーのは何とも純朴なヒトだったんだねぇ」という夫の言葉に象徴されていると思いますが。
そうなんですよ、NHKの大河ドラマだったらきっと史実なんだろう、って無意識に思っているんですよ、私らの世代はね。
でもまあ、それでもいいか、と思います。

なぜなら、柴田勝家に「平穏で心安らかな暮らしを知ってしまったから、ワシが戦いに行きたくなかったのかもしれない」と言わせたのは、ふうん、と思ったから。それが戦いを引き延ばした要因の最優先事項だったとは考えにくいけれど、たとえ戦国の世であっても、そういう思いというのは共通じゃないかと思いますから。

戦いを見据えて、月を見つめたり、雪の中に裸足で佇む無言の武将・勝家と、安寧を求める人間・勝家が、ひとつの人間の中に同居し、それはまた、どちらも真実である、という多面性をちょっと意外な方法で見せてくれたと思えるわけです。
普通なら、武将柴田勝家がほろりと見せた人間味、みたいに描くんだろうけれど、こういう描き方も面白いなと。

さて、ストーリーに行きましょうか。
今回、真っ先に気になったのは、浅井三姉妹の着物です。
へんな処が気になってすみません。しかも、着物について私に知識は全くありませんので、細かい指摘は全然できませんが。
今まで柄物を着ていたのに、今回は無地だったんですよね。江は髪型も変わってましたし。
色無地だったのは、冬を表していたんですかね? 最後は柄の付いた着物着てましたから。北庄の冬のようで、渋かったです。

それにしても、勝家の特技が刺繍だったとは驚きです。これ史実かどうか私は知りません。ちょいと調べてみましたが、分からなかったです。ご存知の方がいらしたら教えてください。

大地さん、スイスイと刺していらっしゃいましたが、撮影一か月前から練習をされたんだそうです。
 「刺繍が紡いだ家族の絆」(『江』hpより)

そんな家族団らんの真っ最中に「殿っ!」と緊急を告げる家臣の声が。
秀吉は前回の企み通り、信長の葬儀を勝家抜きで執り行った、という報告が為されるわけです。
市がすかさず叫びます。「なんと過ぎたる真似を! 信長の跡継ぎは自分だと公言したも同罪!」
もちろん、勝家は怒ります。ですが、三姉妹が口を揃えて「戦はいやでございます!!」と反対したため、「いやいや、戦はせぬ。文を書くのだ」と取り繕います。

あれれ、怒って戦い挑んでくるかと思いきや、文を認めるだけなんて。まあいいさ。次の手がある。
とばかりに、秀吉は長浜城を奪ったようです。
もともと、秀吉の城だったものを、一度勝家に差し出しておきながら、再び取り返す、と。

くそ意地悪。と、千宗易(石坂浩二)にからかわれてます。
「さるかに合戦」とは、宗易上手いたとえを思いついたものです。と言いたい処ですが、勝家を「越前蟹」と呼ぶのはあまりにも、それ狙いですよね。いただけませんな。

ですが、相も変わらず勝家は腰を上げません。
だって、三姉妹から「戦はしないって言いましたよね!!」って睨まれてますから。
家臣たちに迫られたって、カワイイ娘たちの方が大事とばかりに、家臣の意見をはねつけてます。

それならば、と秀吉は追い打ちをかけてきました。
織田信孝を追い詰めて、早々に挙兵させ、勝家が雪に閉じこめられている間に敵をひとり潰すわけです。
軍事的には天才ですな。
しかも三法師(信長嫡孫)を安土城に移してます。
「三法師君は、秀吉への防衛戦として、信孝には掌中の玉のはず。それを奪われたとあっては…!」と市が解説。

そうなんですよ。このドラマの中で、お市は江の母親であると同時に語り手でもあるんですね。
ある視点から離れはしませんが、あの人のとったあの行動はこれこれこういう意味があるんですよ、ということを、政治を描くことではなくて、市に語らせることで描いているんですね。だから、市は一見聡明に見えるんですが、本音を語って母親の姿になると、えらい物わかりが悪いんですね。そのギャップがあるために、市の像がぼやけるというか、ブレて見えると私は思うんですが、どうなんでしょうね?

ワンシーンしか出てこないのに、印象に残るのは徳川家康(北大路欣也)です。
家臣がどっちに付くのかと何度聞いても、答えはひとつ。「もう少し様子をみよう」です(笑)。タヌキじじいそのまんま、って感じで私はとても好きです♪

さて、勝家に戻りましょう。
娘に反対されて挙兵すると言えない勝家ですが、月を睨んだり、雪の降りしきる庭にひとり佇んだりしています。さすがにここでは何も語りません。いい男ですな。大地さん、上手いと思います。

で、その姿に心打たれた市は、勝家を戦場へと送りだそうと決心し、娘たちを諭します。
「男とは、戦いたいものなのだ」と。女とは価値観が違う。ただ、生き長らえるよりも、誇りをかけ、雄々しく戦い、たとえ破れたりといえども戦って死にたい、そういう生き物なのだと。これ以上止めるのは、死ねと言うよりむごいことなのかもしれない。それは勝家だけでなく、兄・信長も、夫・長政も、兄を討った光秀も、みなそうだったではないか、と。

いきなり物わかり良くなってしまったのは、茶々です。初も同じですが。
「これまでご無理をさせて申し訳ありませんでした。ご出陣遊ばしたあかつきには、天下一のお働きを!」
「そうか! 必ず勝つぞ!」と意気揚々と叫ぶ勝家に、「父上のうそつきっ」と江だけが怒っちゃいました。

そういういきさつがあっての、3月。
「実はワシが(戦いに)行きたくなかったのかもしれない」という勝家の台詞になるわけです。
この夫婦のシーンは、この物語のこの夫婦らしくて、良かったですね。
ただ、「私はあなた様を好いております」って、直接表現しなくてもやりようがあったんじゃないのかなーとは思うけど、というか、ここを直接表現に持ち込まない方が私の好みなだけですけど。
勝家が無口なのは、すげー説得力があっていいです♪ こういうの好き。
お市は喋りすぎなんですよね。しかも直裁だし。

最後、出陣する勝家にむかって「父上ーーー! ご無事のお帰りお待ち申し上げております!」と江が叫ぶのは、ベタだけど、じーんとした。こーゆー親子モノには、私ゃ弱いんですよ。(苦笑)

とうことで、ね? ホームドラマでやんしょ? 
頭領としての責任はどうした!? 武将としての意地を張らんで、どーんすんだよ!? とか考えない方が楽しめます。

次週、「わかれ」。乞うご期待!

no.08「初めての父」≪『江』感想 ≫no.10「わかれ」

テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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