『江』no.11&12 感想

2011/04/05 12:37

『江』no.11猿の人質 2011.03.27放送&no.12茶々の反乱 2011.04.03放送 

天正11年(1583)4月、北庄城炎上そして落城。三姉妹は、母・市を失い、両親の仇である秀吉の許へ。
保護者を失った彼女らの運命や如何に。そして彼女らは何を受け入れ、何を拒むのか。愛される存在であった子どもから、愛する側へと成長してゆく彼女たちの選ぶ第一歩。それを描きたいのだと思ったのですが。まだ迷いの中にある所為かインパクトが弱かったですね。

そして12話は、天正11(1583)年秋。市の忘れ形見として茶々を得ようとする秀吉と三姉妹の対決。
こちらは面白かったです。茶々が何を思って秀吉の側室になろうとするのか、その根幹の物語だったんじゃないでしょうかね。

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この12回は結構面白く見たので、気にしちゃいけない(笑)三姉妹の年齢を確認するために、『江』の公式hpの略年譜を見ていたのですが。

歴史の年表というのは、歴史を暗記教科だと位置付ける象徴的なものだと思いますが、実は歴史観を表す最たるものでもあります。年表というのは、それが「覚えなければならない歴史的事実」であることを既に選択されているからです。
年表も史実と言われているものも、悠久なる人の営みを全て網羅したものではありません。それが事実かどうかという検証に始まり、時の政権が選択した事件を繋げたものがその国の「国史」となっているに過ぎません。
それは専制的な政権が都合の良いものだけを記録しているということだけでなく、現在のこの日本という国でもそれは為されているわけです。
ただ、既に知られている事実を隠蔽したり無かった事にすることと、それを認め公表することのどちらが国家として有利か、という判断をされているだけのことだと思います。

教科書に書かれている歴史は、国家が認めた歴史であって、それが全て真実かどうかは誰にも分からないし、真実の全てが網羅されているわけでもない。

ただ、歴史、つまり数多の人間の営みを永久に隠蔽することはできない、と私は思っていますが。

と、やたら前振りが長いのは(笑)、NHKのHPにある略年表を見ていると、この『江』という物語が何を骨子に描かれているのか、描こうとしているのかがよく分かるよね、と思ったから。
この『江』という物語は「水のようにしなやかに、そして花のように鮮やかに生きた姫たちの姿」を描こうとしているわけで、その骨子となっているのは「家族の絆」なんですね。

脚本家の言葉として「過去に新たな視点で光を当てることで、現在を変え、未来を変える。過去を生きた人たちに感謝し、私たちはきちんと生きているのだろうかと問い直す。」と田淵さんご自身が仰っています。
つまり、この物語は現在の私たちのために、現在の私たちの視点で描かれている。田淵さんは戦国の世から現在に至るまで悠久の価値観として「家族の絆」を示しているわけです。

ですから、この略年表に書かれているのは、江の家族の生死と婚姻だけなわけです。
戦国というやたら出来事の複雑に絡まった時代も、こうしてひとつの価値観でピックアップした出来事を年表にあらわし、それを眺めてみれば、すっきりとした新しい物語が見えてくるのかもしれません。

それが事実であるか、そうでないかは、あまり考慮する必要はないのかもしれませんね。だって、事実なんてわからないし(笑)。

時代考証が無意味だとは思いません。
かつての時代劇も、大河ドラマも、多くの方の研究に支えられた時代考証があったからこそ、そこに「リアル」を感じることができたのだと思います。今は、そういう時代考証を重要視すると視聴者に飽きられちゃうらしいです。(と、噂話で聞きました)でもね、自分を信用していない相手の言葉を信用することはとても難しいものですよね。視聴者を信用しない制作者が作ったものが、視聴者に届かないのは当然だと思います。
と、知らない世界のことをお門違いな私が言ってみました(笑)。

つまりですね。
制作者が一番に伝えたいものが「現代の視点で切り取った物語」ならば、時代考証が二の次三の次になっても致し方ないのだな、とこの略年表を眺めていて思ったのでした。

前振りが長くてすみませんね~^^;。
肝心な三姉妹の年齢ですが。
・茶々 14歳
・初  13歳
・江  10歳
でした。年表から計算したので数えじゃない、満年齢ですよ。
うーん、うーん、うーん。うーーーーーーーーん。・・・( ̄. ̄;)エット( ̄。 ̄;)アノォ( ̄- ̄;)ンー

ま、いいか! 気にしちゃいけないさ!

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母親を亡くした三姉妹は、長女・茶々が母親の役目を継ぎ、妹たちをまとめようとします。
14歳。中学2年生です。そう考えると痛々しいですね。
もっとも、あの時代の14歳は「大人」に近い存在だったのかもしれません。

この2回の物語は、秀吉憎しの茶々がどうやって運命を受け入れ、秀吉の側室になるのかを描いたものです。
初と江は添え物にしか過ぎません。男達の思惑もまた然り、です。

宮沢りえ、全般的に良かったと思います。年齢を19歳くらいだと思えば、なお。(爆)
頑なに秀吉を憎んでいる茶々の心模様の変化。
すっかり母親役になってしまった茶々だったので、「妹たちのため」に嫌々身を任せるのかなくらいに思っていたのですが、なるほどなるほど、秀吉を討ち滅ぼすために懐に入った、わけですか。

後年、大阪の陣前後になると、ねね(秀吉の正室)は賢い立ち回りをしますが、茶々の行動はめちゃくちゃです。ひたすら秀頼カワイイ、のバカ親ぶりが目に付きますよね。茶々の行動が豊臣家を滅亡へと導いたと言っても過言ではない。
ですが、それは我が子かわいさのあまり盲目的な愛情を注いだ末の結果であり、茶々の分別の無さとして描かれることが多い。だから、茶々って美人の誉れは高くても、あまり賢そうなイメージがありませんでした。
(私戦国の物語ってあまり多くを読んでいないので私のイメージがそうなんです。一般的にどう思われているのかはわかりません)
ですが「秀吉=豊臣家」を滅ぼすために、というのが目的ならその行動は大変合理的であります。

余談ですが。(←司馬さんみたいにやってみたかったの・笑)
養老孟司氏が小泉純一郎氏の対米戦略を評して「ひたすらアメリカに追随することでアメリカの没落を早めた。それが彼の真意だ」と言ったことがあり、面白いこというな~と思っていたんです。つまり、本来のパートナーシップを結ぶ相手として真剣にその行く末までも考えていたのなら、「そりゃあかん」と止めたはずの政略もあるはずだ、と。それを愚策さえも鵜呑みにして(みせて)アメリカという国の権威を失墜させた、と言うわけです。
忠臣というものは、主が愚をおかそうとしているときは止めるものですからね。それをせずにただ追随し煽るだけというのは、実はそれ、つまり主の没落を目的としているのだ、というわけですよ。

なるほど、それを機軸に紐解いていくと、茶々の行動が解せませんか。
常に、豊臣家が滅亡する方向へと、わざわざ梶を切っていく。
それは浅はかさ故ではなく。全ては秀吉憎しからきているのだと。
それに気付いた高台院(ねね)が茶々を遠ざけようとするのもわかりますわな。

とはいえ、大嫌いな男が最後まで大嫌いだったか、大嫌いな男の子はたとえ自分の腹をいためた子であっても憎いか。その辺の葛藤がなかったとは思いませんが、それにしても、悲劇の女性であることは間違いありません。

このヘンの駆け引きというか、千利休(石坂浩二)はさすがでした。
秀吉が憎い、母の仇だ、殺したいという茶々に対して。

「茶々さまにはできまへんな。ただ憎んで、いちいち刃向かい、いややと反抗してみせる」
「それは、相手と同じ場所、同じ高さに立っているということ。もひとつ上に行くには全てを受け入れて、呑み込んでしまわなければならない。敵より大きゅうなって、太うなる。そやないと倒す、殺すなどは到底できまへんわ」
「今は堪えて、静かに爪を研ぐときと違いますやろか…」

すげー。腹真っ黒!(笑)
というのは冗談ですが、「節操がないと言われようと、茶を点ておいしゅう召し上がっていただければそれでよい」と言い切るだけのことはありますわ。しかも、石坂さんうまいし。

「いただきます」と言って菓子を食べる茶々に「いかがかの?」と問う利休。
「おいしゅうございます。でも、くやしゅうございます」と言って涙を零す茶々。
「その悔しさを胸に畳み込んで生きることや。太う、大きゅうに堂々と生きなはれ」と諭す利休。

このやりとりは良かったです。
自分的にもピンポイントでヒットだったし(笑)。というか、たぶんそれでこの回が面白かったんだな、私は(爆)。

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オモロいところというか、笑っちゃう処はイロイロありましたよ。

秀吉にとって、江が信長と被っちゃうところとか。(ひとり「ははーっ、お館さまっ!」とかひれ伏しちゃうし)
江を「猿みたいな姫」と秀吉が言えば、「猿? あらご親戚で?」と龍子が切り返したり(笑)。
「嫁に出す」と宣言した相手、つまり江を思いっきり指差すとか。(人に向かって指差しちゃいけません・笑)
秀吉だけじゃなくて、侍女も毎回転けてるし。(バラエティ以下!)

家康の北大路欣也さんとか、ねねの大竹しのぶさんとか、抜群の存在感だし。
案外に好演していたのが、初役の水川あさみさん。今回はいい感じで存在感があったと思います。

そうそう、石田三成までもが茶々LOVEに落ちた瞬間も笑った。あれ、笑っちゃいけない? 悲劇の三成誕生の瞬間でしょうか。


来週、江は嫁に行きます。10歳だよ~? 夫との絆、とか無理な気がするんですけど。

no.13「花嫁の決意」

no.10「義父の涙」≪『江』感想no.11「猿の人質」&12「茶々の反乱」≫no.13「花嫁の決意」&14「離縁せよ」

テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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コメント

お、復活!

久しぶりにじっくり読ませていただきました。
が、やっぱり「テレビ買ってまで見よう」という気にはならん…。『JIN-仁』が始まるまでに買おうと思っているんだけどな~地デジ。

やっぱりねぇ「家族」という概念が近代のもので、この時代にはなかったんだってわかっているものに、時代の違う場所に当てはめてリアルを感じたり共感しろとゆわれてもなー、と思ってしまうんだな。役者さんたちが面白いので、見せ場は見せるだろうから、その矛盾感じて避けてしまいますねぇ、、うむ。

でも、このblogの感想文は面白いので、ずっと読む(o^.^o)♪

| 2011/04/07 |  00:26 | 綾乃 #L8qX7C.g |  URL | 編集 |

見ておりますよ~

★綾乃さま

 いらっさいまし~。
 ↓わはははは。
> 久しぶりにじっくり読ませていただきました。

 やっぱりですね、成人女性があの年齢を演じるのは逆効果と思うんですがね。。。
 ええ、まあ、大人になってからを期待しましょう。
 きっと化けるのではないかと!(笑)

> 『JIN-仁』が始まる

 おお、こっちはすっかり忘れてました。
 二部が始まるんでしたっけ。楽しみ~♪

> 矛盾感じて避けてしまいますねぇ、、

 あまり深く考えるのはやめましたよ、私は。
 それよりも楽しんじゃえ~と思いまして。
 それに、私の場合、さほど時代考証できるわけではないですし、物語が物語として面白ければOKです!

> でも、このblogの感想文は面白いので、ずっと読む(o^.^o)♪
 
 わーーー。そっちの方がびっくりです。ありがとうございます~。
 いろいろツッコンでくださりませ。

| 2011/04/08 |  18:27 | ポトス #Kyq53.yY |  URL | 編集 |

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