『江-姫たちの戦国』感想no.13,14

2011/04/18 18:36

『江-姫たちの戦国』no.13花嫁の決意 2011.04.10放送、no.14離縁せよ 2011.04.17放送

今回の大河ドラマは1話完結型ではなくて、数話でひとまとまりになっているのだと思います。
第11話「猿の人質」からずっと秀吉と三姉妹の関わりを描いているわけですが、11・12話が茶々編、13話・14話が江編。で、次の15話で三姉妹の視点からは見えなかった秀吉という人物の真実を描こうと江が奔走するようですね。

変な言い方だとは思いますが、この作品は、江というキャラクタを作り上げるために歴史を題材にした二次創作を見ている、と云った感じなんです。歴史小説というもの自体がそういう要素を含んでいるとは思いますが、「正統派時代劇」を元にした二次創作という印象を受ける作品だと、私は感じています。

さて、江編ですが。
秀吉にとって、茶々を得るための目の上のたんこぶが江と云ったところ。それに秀吉にとって、江=信長でもあるわけですから、天下のっとりを企むのに何しろ都合が悪い。よって、江を遠くに追いやるためにはどうしたら良いか? というわけで江の婚礼話が浮上する、という筋書き。

相手は、母・市の妹おいぬの方嫁ぎ先、尾張大野城主・佐治一成(さじかずなり)(平岳大)。つまりはいとこ同士の婚姻であり、織田家の結束という大義名分ができあがるわけです。

まるで江を遠くへ追いやることが嬉しくてならない、という風の秀吉ですが、相手まで決めておいたくせに、その戦略的意義(佐治家の水軍を味方につける)を黒田官兵衛の示唆を受けて納得するというのは、どう考えてもみょうちくりんだと思います。
それとも、これも大将が気付かなかった事を補佐する軍師を活用しているという「部下への配慮」という秀吉の魅力と描きたいのかしらん?

ちょっと横道に逸れますが。
秀吉の信長に対する負い目を、これほどあからさまに取り上げた時代劇は初めて見たような気がします。
戦国の世では下克上が当たり前であり、隙あらば主といえど容赦はしないという価値観の中、秀吉が織田家の天下を奪い取ったというのは、政治的に非難される道具となることはあっても、秀吉自身がそれを後ろめたく感じているという描写は、私は見たことがありませんでした。
もっとも、豊臣家の世が続かなかった要因のひとつに秀吉自身が成り上がりであったこと、つまり、子飼いの家臣がいなかった(少なかった)ということが挙げられますから、この時代に「忠心」というものが無かったとはいいませんが、鎌倉や江戸時代の武士とは価値観を異にしていたということは事実なのでしょう。

私は未読なのですが、加藤廣氏の著作に「信長の棺」「秀吉の枷」がありまして、新しい秀吉像が描かれているということなので、今度読んでみようと思っています。

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茶々、初、江の三姉妹は、互いに負担を掛けまいと、互いの役に立ちたいと、互いを深く思いやりつつ生きています。そして、それぞれにかけらられた母・市からのメッセージが支えとなっているわけです。
茶々がどんなに母親の代わりをしようと思っていても、到底そこには及ぶことがないわけです。

江は「姉には手を出すな」と秀吉に一筆書かせた上で嫁に行きます。
一筆書かせたところで反故にされちゃうだろうに、と思うのですが、それは江が10歳という幼さだからという理由なのでしょうか。それとも、そう思うことが現代の価値観なのでしょうか。

お市の方も手紙という方法で秀吉に釘をさしていた処を見ると、あの時代の「手紙」というのはそういう重さを持ったものだったのかもしれません。もっとも、市の場合は死をかけた上での願いですから、無碍にはできなかったということもあるのかもしれませんが。

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今ひとつ腑に落ちないなぁと思うのが、この三姉妹のプライドです。
本来、保護者を失っており、織田家という後ろ盾もかなり危うい状態にあるのだから、どうなっても致し方ないという身の上でありながら、自分たちが「姫」として遇されることに一抹の疑念も持たない。
それも「子どもだから」大人の世界の価値観はわからないと云うことなんでしょうかね?

家族を討たれた事に対する恨みつらみはわからなくないんですが、自分の父たちが討った相手の事はこれっぽっちも考えていないでしょう。このアンバランスさは彼女たちが子どもだからなんでしょうか。でも、江の10歳はまだしも、茶々は14歳でしょう? モノがわかっても良い年だと思います。
彼女らは「自分たちは被害者」とばかり思っているようですが、あなた達のために付き従っている侍女を初めとする家臣たちのことは、まるで「当たり前」扱いですよね。当時の価値観でいえばその通りだと思いますけど、でも、そういう「虫食い状態」で価値観を入れ替えるのは、私はいかがなものかと思います。
これは『龍馬伝』の時もそう思いましたけど、話の作り手に都合のいい価値観だけを抜き出して入れ替えるのは、話をご都合主義にするだけなんじゃないでしょうか。

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それにしても、ここまでのおねの行動は、到底秀吉の女房だとは思えませんな。
とうとう離縁まで持ち出してしまいましたし(笑)。いろいろな作品で、この二人の夫婦喧嘩は仲睦まじさの表現として使われていますけど、ここまでの二人のやりとりはそうは見えませんわ。もっとも、来週あたり隠されていた「秀吉の真実」が出てきそうですけどね。

尾張大津城へ輿入れした江ですが、夫となる佐治一成は優しくフレンドリーで、江は「嫁に来て良かった」と涙を流します。
そうですねー、あれが11歳だと思わなければ、良い話ですがねー。
11歳の少女相手に、気持ちが調うまで待つの待たないのって、どうやって共感しろと?
まあいいや。

結局、秀吉は織田家(信雄)と対立。そして戦。
秀吉側に付かなかった佐治は見捨てられ、江は「茶々の病が重い」という偽手紙に騙されて、事実上離縁されてしまうことになります。
たった一年の結婚生活。しかも、夫は戦に出たまま。
11歳という身の上で何を考えて過ごしていたんでしょうね。

世に有名な小牧長久手の戦いですが、秀吉は戦上手の家康に手を焼き、織田信雄を懐柔することで和睦に持ち込みます。この戦も、武将同士の駆け引き等、面白いエピソードがありますけど、そういう面は全く描かれずにお終い。
家康はひたすら狸じじいだし、織田信雄はおバカだし。秀吉はひたすら滑稽。
うーん、やっぱラノベだよねー^^;。

そうそう、江を大阪城に呼び出すために秀吉は偽の手紙を使うわけですが、それがニセモノだと分からせるために、本物の手紙には「初」と署名してあり、ニセモノには「はつ」と署名してありましたね。
「手紙」とか「言葉」に重きを置くにしては、江がそこに気付かないのはあまりといえばあまりじゃないすか? そういう使い方はあざといなーと、私は思いました。

で、ラストシーン。江は秀吉の養女になってしまいました。
さてさて、秀吉の真実とは何でしょうね。

次週、猿の正体。乞うご期待!?


no.11「猿の人質」&12「茶々の反乱」 ≪『江』感想

テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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