『JIN-仁-』第06話感想

2011/05/23 00:13

『JIN-仁-』 第06話 「坂本龍馬の闇」 2011年05月22日放送

今日の話はとても面白かったです。
仁先生(大沢たかおさん)と龍馬(内野聖陽さん)の掛け合いの見事さが光った! なんてもんじゃなく、見応え十分でした!

ストーリー的には、亀山社中を運営する龍馬と、ペニシリン普及のための講義をしに長崎へ出張した仁先生が出逢って、揉めて、別れた、って話です(笑)

いくら仁先生が歴史に疎いといってもですね、長崎へ来て、グラバーを知らないのはあまりにもあまりじゃないでしょーか。^^;
まあそのグラバーさんが怪我をして運び込まれるわけなんですけどね。
仁先生が行う講義の内容があまりにも進歩的で、ドクター・ボードウィンは疑念を抱きます。
どこでその医術を習得したのか!? と。
もちろん「えーと、記憶喪失なんですよ、僕。あはははは」なんていう仁先生の苦しいイイワケに耳を貸すわけはありません。素性を明かせないのなら、腕を見せろ、でなくば信じることはできない、と。
まあ、あったりまえですよね。
当然グラバーの目の手術は成功し、信頼も得るわけですが。

そこで龍馬とも再会し、暗殺に遭うことを告げようとするも、仁先生はまたもや頭痛に襲われ、それは果たせない。
一方「(医療)保険(制度)」について説明することは可能で、龍馬は長州に共に行こうと仁先生を誘うわけです。

まず最初に意外だったのは、幕末を「暗い時代」と表現したことです。
確かに外患を抱えながらも、その実は内乱に明け暮れており、常にどこかしらで血が流されている。
後世の私たちから見れば一本の道のように見える歴史も、当時の彼らにしてみれば、どちらを向いたら正しい道が見えるのか全く分からない手探りの状態だったのでしょうね。
武士は武士の身の上に置いて。町人は町人の身の上に置いて。百姓は百姓の身の上に置いて。
皆がそれぞれに途方に暮れながらも、懸命に生きようとした時代だったのかもしれません。
歴史が回天する前の、どろどろとした、混沌とした時代。
それを「暗い時代」と言い切った。

私はね、後世の人間ですから、面白い時代だと思いますけど。

次に意外だったのは、ブラック龍馬です。
一見無邪気に見えますが、今回は闇に取り込まれかけています。
それを、内野聖陽さんが見事に演じているんですよねー。
同じように、ぎゃはははと笑っていても、顔が歪んでいるんですもん。いつもとさして変わりはしないのに、全然、龍馬の無邪気さも明るさも感じられない。
役者さんってのはスゴイですね。これが表現できちゃうんですから。
いや、もう、二重にびっくりでした。

昨年の『龍馬伝』なんかはモロにそうでしたけど、龍馬って言うのは「平和主義者」みたいに描かれることが多いでしょう。この『JIN』でもそうなるんでしょうけど、その過程として「必要悪としての戦い」を認めるブラック龍馬が描かれているわけです。

これに対する役ドコロは、やっぱり勝先生でしょうね。
幕臣だから、龍馬のようにはフラフラ飛び回れない。大将が徳川じゃなくてもかまわないが、江戸の街が焼かれるのは困る。その時のために、こうしてここにいるんだ、と。
やっぱ師匠ですわ。龍馬が踏み外しそうな板を、きちんと抑えている。
自分の目指すモノ、つまり、どうしても守りたいものと自分の役割を冷静に判断でき、踏み外さない。
さすが勝海舟。

龍馬くん、アブナイです。
いやー、こういう龍馬が見られるとは思いませんでしたね。
今までの流れでくれば、きっと、大きな世界観を持った龍馬が自然と誕生して育っていくのだと思っていたので。
まさか、一度ブラックに染まるとは。
その理由も「寺田屋で殺されかけて気が付いた。やられる前にやらなきゃ、言いたいことも言えやしないんだ!」って。納得できますよ、ええ。

「戦争する人はみな、そういう事を言う!」と仁先生。
「戦だけが国をまとめる手段なのか。そんな方法でまとめるしか能がないのなら、政権をとっても上手く行くはずがない! うまく行かなくなったら、また戦を繰り返すだけだ!」と。

「暴力は、暴力を生むだけ」

仁先生のキレイゴトが、胸に迫りましたなぁ。

仁先生の話す言葉はどうしても現代語です。そこに、仁先生の立ち位置が現れているわけです。
「南方仁と一緒に、歴史をのぞき見してみませんか」
どこかで、大沢さんがそう言っていました。

私はこの『JIN』が時代劇に見えなかったんですね、ずっと。
確かにお金はなさそうなんですけど(笑)、演技もストーリーもセットも違和感は全然なかった。
なのに、時代劇だとは思えなかった。
何故だろうな??? とずっと不思議に思っていたんですけど、先の大沢さんの言葉を聞いて腑に落ちました。

「歴史ののぞき見」なんですよね、この物語は。
時代劇というのは、その時代を生きる人がその時代の価値観で生き死にをする場所であって、この物語は違うわけです。
仁先生という異物の目を通して、過去を見つめ、けれど描いているのは現代の価値観なのです。

うっかり現代の価値観を時代劇の中に持ち込むと、悲劇だったり喜劇だったりするんですが、この物語が持ち込む価値観には普遍性がある、というか、幕末と融合できようができまいが、その決着の付け方が上手いと思います。それがこのドラマの面白さの一因じゃないかと思うんですけど。

以前の、薩長同盟の切り札となる西郷の説得に、手術にあたった仁先生の言葉を引用した処もそうでしたけど、この物語でなくては意味を為さない行為や言葉があり、それが見事に歴史の中の1ピースとして填っているわけです。
一本隣りにあるパラレルワールドを見ているような、そんな面白さです。
今回のブラック龍馬も、その悔恨も、この物語の中ではとても自然で納得できるものでした。

それを内野さん演じる狂気の龍馬と、納得できない大沢さん演じる仁先生がぶつかり合って、1時間見せてくれたわけですよ。

共に歴史の渦に呑まれてしまわないように。
その渦の中から見える道標となるように。

この辺(田中さんの出現ね)は、まあちょっと唐突でしたけど、時間がないから仕方ないですかね。

どんな人生にも、明暗があり。
それでも生きることは大事なんだと、それは今の時代だからこそ、余計に沁みたように感じました。

暗い海を見つめる龍馬が。
「ちくと道を間違えてしもうての。迷子になっちょったが」
そう言った後のふっきった顔が良かったです。


さてさて。来週は何やらまた野風ちゃん登場ですね♪




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