『八重の桜』第2回感想

2013/01/16 19:02

『八重の桜』 第2回 やむにやまれぬ心 NHK 2013.01.13放送

前回が75分だったせいか、45分がやけに短く感じた第2回。
地味でしたね。
でも、安心クオリティの時代劇を観たなという安定感のある回だったと思います。

「やむにやまれぬ心」とは、基本的には八重の鉄砲を習いたいという心持ちのことですよね。

初っ端、隠れて鉄砲撃ちの真似事をする八重ですが、
「ならぬものはならぬ!」と前回のキーワードを言い渡す父・権八。
それでも諦められない小さな八重を、鈴木梨央ちゃんが好演していて、大変愛らしい。

手習いの最中に砲術の絵を描いたり、男の子に読めない漢字を教わったり。
父親に諭されても、母親にたしなめられても、どうしても止めることができない。

8才の女の子が11才になるまでの3年間、どうしても諦めきれずに独学を続けるわけです。
親に反対されながらも止めることができず、こっそりと隠れて(実際には親は知っているわけですけど)続けた年数が3年間です。
小学2年生が5年生になっても諦められなかったってことですからね。

大したもんだと思います。
その八重のやむにやまれぬ心を理解するのは、兄・覚馬です。
なぜなら、彼もまた「やむにやまれぬ心」を持っていたから――。

黒船に魅せられた覚馬。
密航を企てようとするものの、吉田松陰に先を越され、露見したそれを唆した咎を受け佐久間象山までもが蟄居となり、象山塾は解散となる。

彼の心もまた、やむぬやまれぬものを抱えたまま、その発露の先を探して帰郷をする。
そして、同じ心をもつ妹の情熱に出会ったのでした。
どうして、彼に妹を突き放すことができましょうか?

というわけで、ひとつのキーワードに、八重の心、覚馬の心、そして、吉田松陰、勝海舟、佐久間象山と言った幕末の巨魁達の心までもが描かれた回でした。

――地味でしたけどね。(笑)

あらすじにしちゃ長くなりましたが、ワタシが前回、今回と続けて印象的に思ったのは社会を支える大人という存在でした。

幕末というと、新しい時代を築いた人々が主役なわけで、壊された社会に生きてきた人たちがもの申すことはありません。
ですが、あれだけ派手に新旧勢力の交代劇があったということは、旧世界を担ってきた人が確実に存在したわけです。

今回の大河では、その旧世界の代表として会津という風土があり、初回でそれが大変美しく描かれていました。

『平清盛』は違いましたね。
前時代の勢力は悪でした。
民の生活など一顧だにせず、己の栄華のみを求める者達として、朝廷世界が描かれていたわけです。

新勢力が台頭しようとする時に、旧時代を否定するのは至極当然のことです。

平成の世の、この閉塞感いっぱいの時代にあって、社会の中のどこかしらに悪を見つけてそれを一斉に叩く、というのはよくある事で別段珍しくもない光景です。
自分の取り分に余裕がなくぎりぎりで生きている中で、もし目の前にズルをしている人がいればやっぱり腹が立ちますから。

でも、誰かを叩いても時代は良くならないんじゃないか、と最近思うんですよ。
アイツはオレより得をしている! とか、ズルして稼いだんならそれ返せよ! みたいな語法で世の中のあれこれが語られることに、ワタシはとっても疲れてしまっているんです。

批判するなとか、なあなあにしようと言っているんじゃないんですよ?

40代も半ばになった自分自身の身の置き所として、批判される側を背負う人間が必要なんじゃないかと思い始めているんです。
だって、そういう社会で育ってきたわけですしね、ワタシは。
その中で、良い思いも悪い思いもしてきているわけじゃないですか。

社会が大きく変わる時、変えようとする勢力にばかり目が行きがちですが、
実際には旧時代を背負って、その責任を取る人間が必要なんだと思うんです。
それが、ワタシたちの世代じゃないのかなって。

社会って意図的に支えようとする人間がいないと、結構簡単に崩れちゃうものなんだと思うんです。
江戸時代が250年も続いてきたのは、もちろん政治体制としてその仕組みと時代が噛み合っていたということが大きいのだと思いますが、それを支えようとする人間が幾世代もの間存在し続けたからじゃないでしょうか。

その250年続いた社会の綻びを正そうとする人たちがいて、綻びを責任として受け取ろうとする人たちがいた。
実際に彼らがどう思っていたかはわかりませんが、ワタシはこの新しい物語を観て、そう受け取りました。

まあ、時代を動かした歴史上の有名人達と自分を重ねることはできませんが(笑)、
名も無き人間として、ただこの時代に生きた者として、できることから始めるしかないんじゃないか、と。
具体的にどうしようってわけじゃないんですけどね、そう思うんです。

だって、格好いいじゃないですか(笑)
「ならぬものはならぬ」と娘に言い渡す一方で、役目の重みを子どもにもわかる形で伝えようとし、
ちゃんとその才を見抜きながらも、普通の娘としての幸せを願って止まない父・権八。
出しゃばらずに慎みを持ちながらも、自分の仕事に誇りを持ち、それでも娘自身に考えさせようとする母・佐久。
自身、止むに止まれぬ心を持ちながら、封建社会を支える役目を否定しようとしない兄・覚馬。
象山塾で習うことが叶わぬとなれば、自身で後輩を育てようとする勝。
これからの日本を背負おうとする松陰を決して見捨てない象山。

誰かを批判し否定するだけではなく、それに伴う責を負おうとする姿勢がすごく格好良くみえたんですよね~。
どうせなら、自分で格好いいと思える生き方に近づきたいなぁと思いますよね、誰だって。

思うだけならいつでもできますしね(笑)。

あ、格好いいといえば。
ずいぶんスタイリッシュな西郷さんが登場しましたね!
羽織をシュッ!! ですから!

あれは、かっこよすぎですよね。
(笑)







『八重の桜』感想

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テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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コメント

はじめまして

『八重の桜』のレビューを連続して読ませていただいて嬉しく思っております。

>批判される側を背負う人間が必要なんじゃないかと思い始めているんです。
>旧時代を背負って、その責任を取る人間が必要なんだと思うんです。
>誰かを批判し否定するだけではなく、それに伴う責を負おうとする姿勢がすごく格好良くみえたんですよね~。
この三文にとくに感銘を受けました。現実の生き方としても、大河で描かれるべき内容としても、大切なことだと思います。被害者意識を前面に出して体制を叩くだけなら誰にでもできますものね。

ところで、やまねブログ最終記事にコメントをくださったポトスさんは、こちらのブログ主さんでしょうか? 実は昨年二月からこちらのブログをブックマークしておりました。『胡蝶の夢』というすてきなタイトルばかりが頭にあったもので、コメ返しの時にポトスさんのお名前にピンとこなくて失礼いたしました。


| 2013/01/18 |  18:53 | osen #rN9gzu4k |  URL | 編集 |

コメントありがとうございます

★osen様

 はじめまして。ご訪問、そしてコメントありがとうございます。

> やまねブログ最終記事にコメントをくださったポトスさんは、こちらのブログ主さんでしょうか?

 はい、そうです。どこの誰ともわからない書き込みで失礼致しました。
 毎週楽しみに伺っていましたので、最後にお礼だけでもお伝えできればと思いまして書き込みさせていただきました。
 また、拙blogへのご訪問、ありがとうございます。
 まさかブクマしていただいていたとは!
 既にご承知かとは思いますが、ワタシの場合、妄想で勝手に補強された感想ですのでお恥ずかしい限りではありますが、少しでもお楽しみいただけたのなら何よりです。

> この三文にとくに感銘を受けました。現実の生き方としても、大河で描かれるべき内容としても、大切なことだと思います。被害者意識を前面に出して体制を叩くだけなら誰にでもできますものね。

 ありがとうございます。
 それこそ、言うは易く行うは難しではあるのですが、少しでもそういうものに近づけたら良いなぁと思うようになりまして、そして、大河のような物語の中でそういう価値観が大切にされるのなら何よりも嬉しく思います。


 他の方のレビューを拝読しているとつくづく思うのですが、制作者がどんな意図を込めても、受け手がそれを見る目を持っていなければ伝わらない、気付いてもらえない事があるんですよね。
 ワタシはどうやら審美眼というものを持ちあわせていないようで、衣装とか、建物とか、小物?とか、そういったモノの持つ美しさや意図に全く気が回らないんですよね。で、気が付くと妄想が爆走している、と言いますか。^^;
 そんな感想記事ばかりですが、よろしければまたお越しくださいませ。
 お気軽にコメントなどいただければ、嬉しいです。^^

| 2013/01/19 |  22:56 | ポトス #Kyq53.yY |  URL | 編集 |

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